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第3回:橫田 篤 理事?副學長

「北大らしさ」に磨きを-SDGsを拠り所に一體となって-

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こんにちは。理事?副學長の橫田篤です。専門は醸造や発酵を扱う応用微生物學で、學生指導?講義のため、今年度末まで農學研究院教授(微生物生理學研究室)を兼務しています。

まず生い立ちから。1957年、東京都生まれ。物心がついた時には札幌におり、道産子を自認。父親が樹木の病原菌の研究者だった関係で、小學3年まで、札幌市豊平にあった舊農林省林業試験場北海道支場の官舎で過ごしました。その跡地は、現在、豊平公園となり、街中の森林公園として市民に親しまれています。當時は広大な敷地の中に庁舎があり、それを囲んで苗圃や鬱蒼とした森があり、小川が流れ、全體が贅沢な遊び場でした。私は水辺や森の探検などに明け暮れていました。何かの用事で庁舎に入ると、決まって標本を保存するホルマリンの匂いが微かにして、厳粛な雰囲気に身震いしたものです。1965年には現在の南區澄川に引っ越しました。當時の澄川はリンゴ園が點在する丘陵地帯で自然に恵まれ、冬はスキー、夏は野山を駆け巡り、小學生の間は夢の中でした。

こうした環境から、將來はごく自然に微生物の研究者になりたいと思いました。中學では心を入れ替えて猛勉強し、札幌南高に進學しました。「農學部なら北大」、「微生物をやるなら植物病原菌より、就職も良く酒も飲める農蕓化學の発酵が斷然面白い」と、北大と交流が深かった父親の助言を受け、1975年に北大教養部理類に入りました。希望通り農學部応用菌學講座に分屬、高尾彰一教授(故人)のご指導により、1984年に博士課程を修了しました。

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味の素(株)中央研究所に就職し、微生物発酵によってアミノ酸を生産する開発研究に従事しましたが、5年後には出身講座の助手として呼び戻されました。私は企業での経験から、大學では「産と學を繋ぐ獨創的な基盤研究」を行うべきであると考え、二つのテーマに取り組みました。一つは「発酵生産菌の生産活性強化に関する研究」です。細胞をエネルギー欠乏に追い込むと、原料となる糖の代謝を活性化できることを見出し、短期間に高収率で生産物を得る技術開発に成功しました。もう一つは、1996年のオランダ王國フローニンゲン大學への留學をきっかけに始めた「腸內細菌と膽汁酸との相互作用に関する研究」です。膽汁酸は脂肪を乳化して消化を助ける膽汁の主成分で、細胞膜の脂質にも作用するので強い殺菌力があります。私は膽汁酸の殺菌機構など一連の研究を発展させ、ラットを用いた実験で、膽汁酸がその殺菌力により腸內細菌叢の組成を制御していることを明らかにし、2011年に論文発表しました。高脂肪食は膽汁酸の分泌を増やすので、この報告は、肥満やメタボリクシンドロームの発癥機構を腸內細菌叢との関連で解明する突破口を開いたものとしてこの分野の研究に大きな影響を與え、現在までに500回を超えて引用されています。以上が私の30年余りの研究の要約です。短期間とは言え、民間と海外を経験できたことが、研究だけでなく、大學や産學連攜のあり方を考える上での土臺になったと思っています。

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部局では2015~18年度までの4年間、農學研究院長を務め、延べ10年以上運営に関りました。印象に殘っているのは、教職員が一體となって達成した組織改革です。當時の農學部局は度重なる組織再編や人件費削減により、組織や教員配置に多くの問題を抱えていました。各學科は対立し、解決に向けた議論は紛糾しました。そのような中、部局の理念を「生物圏に立腳した生存基盤の確立を通じて人類の持続的繁栄に貢獻する」と定め、その達成には全構成員の協力が不可欠であることを皆が了承したことを契機として、噓のように融和が進みました。その後は國際食資源學院の設置や農學院の改組など、重要な改革を円滑に進めることができました。

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一方、法人化による競爭的環境の中で評価指標の達成に汲々とするあまり、私は本學から「北大らしさ」が急速に失われて行く危機感を感じていました。「北大らしさ」を言葉で表すことは難しいのですが、私は、クラーク精神と4つの基本理念(フロンティア精神、國際性の涵養、全人教育、実學の重視)の基に、本學の美しいキャンパスやフィールド資産を活用して、世界の課題解決への貢獻を目指して行われる教育?研究?社會貢獻の総體、と考えます。しかしその定量的な評価は困難でした。そのような中で、SDGsの達成に向けた大學の社會貢獻度を評価する「THE大學インパクトランキング2020」において、本學は國內1位、世界のトップ10%の評価を受けました。「これだ!」と思いました。本學が解決への貢獻を目指す世界の課題はSDGsそのものであり、本ランキングでの高い評価によって「北大らしさ」にお墨付きが與えられたのです。これを勵みとして、先の総長選挙でも、SDGsを拠り所として本學の獨自性と優位性を高める必要性を訴えました。

現在、寳金総長の下で國際全般とSDGsを擔當しており、こうした経緯からやりがいを感じています。部局運営での學びを生かし、SDGsを拠り所として全構成員が一體となって総合力を発揮することで、「北大らしさ」に磨きをかけたいと思います。ご協力を宜しくお願い致します。

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Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標

(2021年6月)

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